オンラインショップのSNS広告集客|利益を残す運用方法と30日実践手順

オンラインショップのSNS広告でCPAと利益を確認しながら30日間運用する手順

オンラインショップのSNS広告は、Instagram、Facebook、TikTok、YouTubeなどの広告を使い、まだショップを知らない見込み客へ商品を届ける集客方法です。

写真や動画で商品の利用場面や特徴を伝えられる一方、広告を出すだけで売上や利益が増えるわけではありません。

商品ページ、価格、送料、決済、広告クリエイティブ、計測のどこかに問題があると、クリックは増えても購入されず、広告費だけが増える可能性があります。

特に重要なのは、広告を始める前に「1件の注文へ広告費をいくらまで使えるか」を計算することです。

ROASが高く見えても、商品原価、ショップ負担送料、梱包費、決済手数料、返品などを含めると利益が残っていない場合があります。

この記事では、小規模なオンラインショップ向けに、SNS広告を始める前の採算計算、媒体選び、計測設定、クリエイティブ、商品ページ、リターゲティング、KPI、30日間の実践手順まで解説します。

この記事の要点
  • SNS広告を始める前に商品1件あたりの広告前利益を計算する
  • 最初から複数媒体・多数の商品へ予算を分散させない
  • 初心者は相性のよい1媒体・1〜3商品から検証する
  • 広告管理画面だけでなくEC管理画面の実注文と照合する
  • CTRだけではなくカート投入・購入・CPA・利益まで確認する
  • 広告とリンク先の商品情報・価格・訴求を一致させる
  • ROASだけでなく原価・送料・返品を含めて採算を見る
  • 30日で準備・テスト・原因分析・停止・改善・拡大を判断する

オンラインショップのSNS広告とは

SNS広告とは、SNSの広告配信システムを利用して、写真、動画、文章などの広告をユーザーへ表示する集客施策です。

オンラインショップでは、主に次の目的で利用します。

  • 商品やブランドを知ってもらう
  • 商品ページへ訪問してもらう
  • 新商品の反応を確認する
  • カート投入を増やす
  • 購入を増やす
  • 過去の訪問者へ再度商品を案内する
  • 購入者へ関連商品を案内する
  • キャンペーンや再入荷を告知する
SNS広告は「アクセスを買う施策」だけではない

広告で重要なのはクリック数を増やすことではなく、商品を必要とする人へ適切な訴求を届け、商品ページ、カート、購入までつなげることです。

SNS投稿とSNS広告の違い

項目 SNS投稿 SNS広告
主な目的 信頼・関係づくり 接触数・購入機会を増やす
主な費用 制作時間 制作費+広告費
届く相手 フォロワー・投稿反応者など 広告配信対象
主な指標 保存・反応・プロフィール訪問 CPA・購入率・利益
向く用途 情報発信・世界観・関係構築 新規獲得・再訪・販売促進

無料投稿で反応が良かった写真や動画を広告へ利用する方法もあります。

ただし、再生数や保存数が多かったからといって、広告でも購入につながるとは限りません。

広告として利用した場合は、商品ページへの訪問、カート投入、購入、利益まで確認してください。

SNS広告を始める前に確認する6つの条件

1.広告する商品を1〜3点に絞る

広告開始時にショップ内の全商品を宣伝する必要はありません。

最初は、次の条件に合う商品を優先します。

  • すでに販売実績がある
  • 商品別の利益を計算できる
  • 在庫が安定している
  • 写真・動画で価値を伝えやすい
  • 対象顧客を説明できる
  • 返品や問い合わせが極端に多くない
  • 商品ページが整っている

新商品の場合は、広告費を大きく使う前に、小さな範囲で需要を検証します。

2.ターゲットを一文で説明する

広告管理画面の年齢・性別・興味関心を設定する前に、商品を必要とする人を言葉で整理します。

ターゲットの整理例

電車通勤でノートパソコンを持ち歩き、バッグの重さに困っており、軽さと収納力を重視して商品を探している人。

この一文が決まれば、広告画像、動画、文章、リンク先で伝える内容を合わせやすくなります。

3.商品ページを整える

広告でアクセスを増やしても、商品ページで購入判断できなければ売上へつながりません。

最低限、次の項目を確認します。

  • 商品名
  • 商品写真
  • 価格
  • サイズ・寸法
  • 素材・仕様
  • 使用場面
  • 在庫
  • 送料
  • 発送予定
  • 返品・交換条件
  • 支払い方法
  • レビュー
  • FAQ
  • 購入ボタン

広告からスマートフォンで訪問し、商品ページから注文完了まで実際に操作してください。

4.1注文あたりの広告前利益を計算する

SNS広告では、広告費を使う前に「1注文へ最大いくらまで使えるか」を計算します。

基本式

広告前利益 = 販売価格 − 商品原価 − ショップ負担送料 − 梱包費 − 決済・販売手数料 − その他の変動費

たとえば、5,000円の商品で次の費用がかかるとします。

販売価格 5,000円
商品原価 2,000円
ショップ負担送料 600円
梱包費 150円
決済・販売手数料 300円
その他の変動費 150円
広告前利益 1,800円

初回注文だけで判断する場合、広告費が1件あたり1,800円を超えると、この条件では広告費を差し引いた利益がマイナスになります。

ただし、広告前利益をすべて広告費へ使えば固定費や人件費を残せません。

目標CPAの考え方

損益分岐CPA = 広告前利益

目標CPA = 広告前利益 − 1注文あたりに残したい利益

広告前利益1,800円から800円を残したい場合、目標CPAは1,000円です。

5.計測できる状態を作る

広告開始前に、少なくとも次の行動を計測できる状態にします。

  • 商品ページ閲覧
  • カート追加
  • 購入手続き開始
  • 購入
  • 購入金額
  • 通貨
  • 商品ID

設定後は必ずテスト注文を行い、イベント名、購入金額、商品、通貨が正しく送信されているか確認します。

6.テスト予算と停止基準を決める

「初心者だから1日500円」のように、予算を一律で決める必要はありません。

予算は次の3つから考えます。

  • 目標CPA
  • 判断に必要なデータ量
  • 事業に影響しないテスト上限

同時に、配信を止める条件も決めます。

  • 1広告あたりの利用上限
  • 1商品あたりの月間広告上限
  • 購入ゼロで停止する金額
  • 目標CPAを超えた場合の見直し条件
  • 在庫が一定量を下回った場合
  • 計測異常が発生した場合

SNS広告媒体の選び方

媒体は「利用者が多いから」ではなく、顧客が利用しているか、商品を伝えやすいか、継続して広告素材を作れるかで選びます。

媒体 使いやすい表現 検討しやすい商品・用途
Instagram・Facebook 写真・動画・カルーセル・商品 ファッション、雑貨、食品、インテリアなど
TikTok 短尺動画・実演 使い方や変化を短く見せやすい商品
YouTube 短尺・解説動画 比較、使い方、高単価商品など
X 短文・画像・動画 新商品、再入荷、イベント、専門商品など

最初は複数媒体へ予算を細かく分けるより、最も相性がよい1媒体へ集中した方が、成果が出ない原因を判断しやすくなります。

媒体より先に商品と顧客を見る

「Instagram広告をやる」と先に決めるのではなく、「誰へ何の商品をどんな見せ方で届けるか」を決め、その条件に合う媒体を選びます。

SNS広告の計測設計

広告管理画面に表示される購入数だけで、最終的な成果を判断しないようにします。

ユーザーは、広告、検索、SNS投稿、メールなど複数の接点を経由する場合があり、サービスによって成果の数え方も異なるためです。

最低限、次の3か所を照合します。

  1. 広告管理画面
  2. アクセス解析
  3. EC管理画面の実注文

Meta PixelとConversions API

Meta Pixelは、Webサイト上で発生する行動を計測するために使用できます。

Conversions APIは、サーバー、ECプラットフォーム、CRMなどからMetaへマーケティングデータを連携する仕組みです。

利用環境によってPixelとConversions APIを併用する場合は、同一の購入イベントが重複して計測されていないか確認します。

Meta Business Help Center「Conversions API」

TikTok PixelとEvents API

TikTokではPixelやEvents APIを利用してWeb上のイベントを連携できます。

PixelとEvents APIの両方で同一イベントを送る場合は、イベントの重複除外が正しく設定されているか確認します。

TikTok For Business「Events API」

GA4のECイベント

GA4では、EC向けに次のような推奨イベントがあります。

  • view_item:商品を見る
  • add_to_cart:商品をカートへ追加する
  • begin_checkout:購入手続きを開始する
  • purchase:購入を完了する
  • refund:返金が発生する

Google Analytics「Recommended events」

購入イベントだけでなく金額も確認する

購入件数が正しくても、売上金額、通貨、商品IDが誤っていればROAS等の判断を誤る可能性があります。テスト注文で実注文と照合してください。

UTMパラメータの命名を統一する

広告からの流入をアクセス解析で比較しやすくするため、UTMパラメータの命名規則を決めます。

例:

  • utm_source=instagram
  • utm_medium=paid_social
  • utm_campaign=commuter_bag
  • utm_content=video_lightweight_01

担当者ごとに表記が変わると比較しにくくなるため、媒体、キャンペーン、クリエイティブの命名を事前に決めます。

プライバシーと同意を確認する

広告タグや顧客データを利用する場合は、販売地域、適用される法令、利用する広告・分析サービスのポリシーに合わせて、プライバシー表示と必要な同意管理を確認してください。

GoogleのConsent Modeはユーザーの同意状態をGoogleタグへ伝える仕組みです。Consent Mode自体が同意バナーの代わりになるわけではありません。

Google Analytics「Consent mode」

CPAとROASを利益から判断する

CPAとは

CPAは、1件の成果を獲得するために使った広告費です。

CPA

CPA = 広告費 ÷ 購入件数

たとえば広告費10,000円で10件購入された場合、CPAは1,000円です。

先ほどの商品例で目標CPAが1,000円なら、目標範囲内です。

ROASとは

ROAS

ROAS = 広告経由売上 ÷ 広告費 × 100

広告費10,000円で50,000円売れた場合、ROASは500%です。

ただし、ROASには商品原価や送料などが含まれていません。

損益分岐ROASを計算する

1注文あたりの条件が一定なら、損益分岐CPAから損益分岐ROASを考えることもできます。

損益分岐ROASの考え方

損益分岐ROAS = 販売価格 ÷ 損益分岐CPA × 100

販売価格5,000円、損益分岐CPA1,800円なら、損益分岐ROASは約278%です。

一方、800円の利益を残すため目標CPAを1,000円に設定するなら、この単純例で必要なROASは500%です。

ROASの一律目標を使わない

必要なROASは商品原価、送料、手数料、値引き、返品、客単価などによって変わります。「ROAS300%なら成功」のように固定せず、自社商品の利益から基準を計算してください。

SNS広告クリエイティブの作り方

SNS広告では、ターゲティング設定だけでなく、画像・動画で「誰に何を伝えるか」が重要です。

最初は一つの広告へ複数のメリットを詰め込まず、訴求を一つずつ分けて比較します。

悩み解決型

顧客の困りごとから始め、商品がどのように役立つかを見せます。

通勤でノートPCを持ち歩き、バッグの重さに困っている方へ。本体約600gで、13インチPCとA4書類を分けて収納できる通勤バッグです。

使用場面型

商品だけを切り抜いて見せるのではなく、購入後にどのように使うかを見せます。

  • 通勤
  • 旅行
  • 調理
  • 収納
  • ギフト
  • アウトドア

実演型

商品の操作や機能を動画で確認できるようにします。

  • 開閉
  • 収納
  • 組み立て
  • 着用
  • 設置
  • お手入れ

比較型

サイズ違い、商品違い、利用条件の違いなどを、同じ条件で比較します。

競合商品について比較する場合は、確認できる事実に基づいて表現します。

レビュー・UGC型

購入者やクリエイターの写真・動画を広告へ利用する方法もあります。

広告への二次利用許可を確認する

SNSへ投稿してもらったことだけを理由に広告へ自由に利用せず、広告利用の可否、利用媒体、期間、編集可否などを事前に確認してください。

広告素材のチェックポイント

  • 最初に何の商品か分かる
  • 商品が見やすい
  • 一つの訴求に絞っている
  • スマートフォンで文字を読める
  • 音声なしでも大意を理解できる
  • 動画には必要に応じて字幕がある
  • 実物と色・形・仕様が一致している
  • 商品ページと内容が一致している
  • 次に何をすればよいか分かる
  • 根拠のない効果を断定していない

広告と商品ページを一致させる

広告で強調した内容は、リンク先の商品ページでもすぐ確認できるようにします。

悪い例

広告

A4と13インチPCが入る軽量通勤バッグ。

ところが商品ページでは、重量、PC収納写真、送料がなかなか見つからない状態です。

改善例

商品ページの早い位置で次を確認できるようにします。

  • 本体重量
  • 対応PCサイズ
  • A4収納写真
  • 価格
  • 送料
  • 発送予定
  • 購入ボタン

広告を見て期待した内容とリンク先を一致させることで、クリック後の迷いを減らします。

広告はLPと商品ページのどちらへ送る?

リンク先 向いているケース
商品ページ 単品販売、通常商品、商品情報やレビューが十分にある
専用LP 新商品、セット販売、特定ターゲット、詳しい説明が必要

広告ごとに似たLPを大量に作ると、価格・在庫・キャンペーン条件の更新漏れが起きやすくなります。

既存の商品ページで十分に説明できる場合は、無理に専用LPを増やす必要はありません。

広告ファネルを4段階で考える

1 認知

まだ商品を知らない人へ、悩み、利用場面、商品の特徴を伝えます。

2 比較・検討

興味を持った人へ、サイズ、素材、使用方法、レビュー、比較情報を伝えます。

3 購入

商品ページ閲覧やカート追加をした人が、送料、発送、返品、支払総額などを確認できるようにします。

4 リピート

購入者へ、使い方、消耗時期、関連商品、再入荷、再購入などを案内します。

すべての段階へ広告を用意する必要はありません。

まず現在の販売で問題が大きい段階から改善します。

リターゲティング広告の考え方

商品ページを見た、カートへ商品を入れたなど、過去にショップへ接触した人へ再度広告を表示する方法があります。

ただし、リターゲティングを必ず実施する必要はありません。

  • 十分な対象者数があるか
  • 購入済みユーザーを必要に応じて除外できるか
  • 長期間同じ広告を表示していないか
  • 広告頻度が高くなりすぎていないか
  • 対象者データの利用条件を満たしているか
購入者へ同じ商品を追い続けない

購入後の商品へ広告費を使い続けるのではなく、必要に応じて関連商品、消耗品、再購入などへ内容を切り替えます。

商品カタログ広告を使う場合

商品数が多いショップでは、広告媒体へ商品データを連携して広告配信へ利用する方法があります。

商品フィードやカタログでは、次の情報を正確に保ちます。

  • 商品ID
  • 商品名
  • 商品URL
  • 画像
  • 価格
  • 通貨
  • 在庫
  • ブランド
  • バリエーション

ECサイト、商品カタログ、広告で価格や在庫が一致しているか確認してください。

在庫切れや販売終了商品が広告へ出続ける状態は避けます。

広告流入後のカート離脱を減らす

広告でカート追加を増やしても、購入されなければ広告費を回収できません。

  • 送料を購入手続きの前に確認できる
  • 発送予定が分かる
  • 可能であればゲスト購入を利用できる
  • 不要なフォーム入力がない
  • 自動入力を妨げていない
  • 顧客に合う支払い方法がある
  • 入力エラーの場所が分かる
  • 返品条件を購入前に確認できる
  • 支払総額を確認できる
  • スマートフォンで操作しやすい

カート離脱が多い場合は広告設定だけを変更せず、実際にスマートフォンから購入テストしてください。

30日で進めるSNS広告運用

1〜7日目:広告前の準備

  • 販売商品を1〜3点に絞る
  • ターゲットを一文で整理する
  • 商品別の広告前利益を計算する
  • 損益分岐CPAと目標CPAを決める
  • 商品ページを改善する
  • スマートフォンで購入テストする
  • Pixel・タグ・ECイベントを設定する
  • 購入金額・通貨・商品情報を確認する
  • プライバシー・同意管理を確認する
  • UTM命名規則を決める
購入イベントを確認してから広告を開始する

購入が正しく計測できない状態ではCPAやROASを判断できません。広告開始前にテスト注文を行います。

8〜14日目:クリエイティブをテストする

一つの商品について、訴求の異なる広告を用意します。

  • 軽さ
  • 収納力
  • 使用場面
  • 使い方
  • レビュー

この段階では、媒体、商品、ターゲット、リンク先まで同時に大きく変えないようにします。

何を比較しているのか分かる状態を維持してください。

15〜21日目:ファネルのどこで止まっているか確認する

  1. 広告表示
  2. クリック
  3. 商品ページ閲覧
  4. カート追加
  5. 購入手続き開始
  6. 購入
  7. 利益
状態 優先して確認すること
広告がほとんど表示されない 配信設定・予算・対象範囲
表示されるがクリックされない クリエイティブ・訴求
クリックされるが商品を見られない ページ速度・リンク先
閲覧されるがカートへ入らない 商品・価格・送料・商品ページ
カート後に離脱する 送料・フォーム・決済
購入されるが赤字 CPA・価格・原価・広告費
初回購入だけで終わる 商品満足・再購入施策

22〜30日目:停止・改善・拡大を判断する

停止を検討する広告

  • 事前に決めたテスト上限へ達した
  • 目標CPAを大きく超えている
  • 広告と商品との関連性が低い
  • クリック後の行動が極端に弱い
  • 広告が誤解を招いている
  • 在庫がない
  • 計測エラーがある

改善を検討する広告

  • クリックはされている
  • カート追加までは進んでいる
  • 特定の問い合わせが多い
  • 商品ページが遅い
  • スマートフォンの購入率が低い

拡大を検討できる条件

  • 広告計測と実注文がおおむね整合している
  • 目標CPA内で獲得できている
  • 広告費を引いて利益が残っている
  • 返品・キャンセルが許容範囲
  • 在庫に余裕がある
  • 発送体制に余裕がある
  • 問い合わせ対応が可能
  • 一日だけではなく一定期間で再現している
一日だけの好成績で急に予算を増やさない

広告費を増やす前に、利益、在庫、発送、返品、問い合わせまで確認し、事業として処理できる範囲で段階的に調整します。

SNS広告で見るべきKPI

段階 主なKPI
配信 表示回数・リーチ・CPM
興味 動画視聴・CTR・CPC
訪問 商品ページ閲覧・到達率
検討 カート投入・購入手続き開始
購入 購入率・CPA・ROAS
利益 広告費控除後利益・利益率
品質 返品・キャンセル・問い合わせ
継続 再購入率・LTV
最終判断は「利益」で行う

CTRやROASが良くても、原価、送料、手数料、返品などを含めて利益が残らなければ、長期間継続できる広告とはいえません。

オンラインショップのSNS広告でよくある失敗

広告を出せば売れると考える

広告は商品需要、価格、送料、商品ページの問題を自動的に解決しません。

最初から多数の商品を広告する

商品数を増やすと予算とデータが分散します。最初は重要商品へ集中します。

複数媒体を同時に始める

予算が限られる場合は、最も相性がよい媒体から始め、原因を判断できる状態にします。

ターゲットを細かくしすぎる

属性設定だけを極端に狭くせず、顧客の悩みや使用場面を広告内容でも明確にします。

広告クリエイティブを1本だけで判断する

一つの商品でも、軽さ、価格、使い方、収納力など、訴求によって反応は変わります。

CTRだけを見る

クリック率が高くても購入されなければ利益は残りません。商品ページ、カート、購入まで確認します。

ROASだけを見る

ROASには原価や送料が含まれていないため、広告前利益とCPAも確認します。

購入の二重計測を放置する

購入イベントが重複すると成果が実際より良く見えます。実注文と広告計測を照合します。

広告と商品ページが一致していない

広告で伝えた価格、色、サイズ、特徴をリンク先で簡単に確認できるようにします。

在庫切れ商品を広告し続ける

広告や商品カタログと在庫を確認し、購入できない商品への無駄な広告費を防ぎます。

購入者へ同じ広告を出し続ける

リターゲティングでは購入済みユーザーや広告頻度も確認します。

初回売上だけで予算を拡大する

返品、キャンセル、問い合わせ、再購入まで確認してから拡大します。

SNS広告開始前チェックリスト

商品・利益

  • 広告する商品を1〜3点に絞った
  • 商品原価を把握した
  • 送料負担を把握した
  • 梱包・決済等の費用を把握した
  • 広告前利益を計算した
  • 損益分岐CPAを計算した
  • 目標CPAを決めた
  • テスト広告費の上限を決めた

商品ページ

  • 商品名が分かりやすい
  • 商品写真が十分にある
  • 価格が分かる
  • サイズ・仕様が分かる
  • 利用場面が分かる
  • 送料が分かる
  • 発送予定が分かる
  • 返品条件が分かる
  • FAQ・レビューがある
  • スマートフォンで購入できる

計測

  • Pixelまたは必要なタグを設定した
  • 商品閲覧を計測できる
  • カート追加を計測できる
  • 購入手続きを計測できる
  • 購入を計測できる
  • 購入金額が正しい
  • 通貨が正しい
  • 商品情報が正しい
  • 購入を二重計測していない
  • テスト注文を実施した
  • UTM命名規則を決めた
  • EC管理画面の注文と照合できる

広告クリエイティブ

  • 対象者が分かる
  • 一つの訴求に絞っている
  • 商品を確認しやすい
  • 実物と内容が一致している
  • 誇張表現がない
  • スマートフォンで見やすい
  • 動画は音声なしでも理解しやすい
  • 商品ページと内容が一致している
  • UGC等の広告利用許可を確認した

プライバシー・運営

  • プライバシーポリシーを確認した
  • 外部広告サービスへのデータ送信を確認した
  • 必要な同意管理を確認した
  • 在庫数を確認した
  • 発送体制を確認した
  • 問い合わせ対応体制を確認した
  • 広告停止基準を決めた

オンラインショップのSNS広告に関するFAQ

初心者はどのSNS広告から始めればよいですか?

顧客が利用しており、商品を伝えやすい媒体を一つ選びます。写真や利用場面を見せやすい商品、短い実演動画と相性がよい商品、詳しい比較説明が必要な商品など、商品と訴求方法から判断してください。

SNS広告は1日いくらから始めればよいですか?

一律の適正額はありません。商品ごとの目標CPA、判断に必要なデータ量、事業として許容できるテスト上限から決めます。少額でもキャンペーンを細かく分けすぎると判断しにくくなります。

フォロワーが少なくてもSNS広告を出せますか?

広告出稿自体とフォロワー数は別に考えられます。ただし、広告を見た人がプロフィールを確認する場合もあるため、ショップ情報や基本的な投稿は整えておく方が安心です。

CTRが高いのに購入されないのはなぜですか?

広告は魅力的でも、広告内容と商品ページが一致していない、価格や送料が想定と違う、商品情報が不足している、購入手続きが難しいなどの可能性があります。商品ページ到達後のカート投入と購入手続きも確認してください。

ROASは何%なら成功ですか?

一律の基準はありません。必要なROASは商品原価、送料、手数料、値引き、返品などによって変わります。まず広告前利益と損益分岐CPAを計算し、自社商品の損益分岐ROASを求めてください。

Meta PixelとConversions APIは両方必要ですか?

利用するEC環境や計測要件によって異なります。併用する場合は、同じ購入イベントを二重に数えないよう、イベントの重複除外や実注文との照合を行ってください。

リターゲティング広告は必ず使うべきですか?

必須ではありません。サイト訪問者が少ない場合は十分な対象者が集まらないこともあります。配信可能な対象者数、広告頻度、購入者の除外、データ利用条件などを確認して判断します。

SNS広告と検索広告はどちらを優先すべきですか?

商品をまだ知らない人へ写真や動画で利用場面を伝えたい場合はSNS広告が候補になります。一方、商品名や明確な悩みを検索している需要がある場合は検索広告も候補になります。商品と顧客の購入行動から判断してください。

SNS広告を停止する基準は何ですか?

目標CPAと事前に決めた広告費上限を基本に、クリック後の商品閲覧、カート投入、購入、在庫、計測状況も確認します。「数日売れなかった」という期間だけではなく、使った広告費とファネルの状態から判断してください。

まとめ

SNS広告を利益につなげる基本手順
  1. 広告する商品を1〜3点に絞る
  2. ターゲットと訴求を明確にする
  3. 商品ページとスマートフォンの購入導線を整える
  4. 広告前利益・損益分岐CPA・目標CPAを計算する
  5. 購入イベントと売上金額を正しく計測する
  6. 相性のよい1媒体でクリエイティブをテストする
  7. 表示から購入・利益までファネルを確認する
  8. 停止・改善・拡大を数字で判断する

オンラインショップのSNS広告では、広告を出すこと自体が目的ではありません。

広告費を使って新しい顧客を獲得し、商品原価、送料、手数料、返品などを差し引いても利益を残せる状態を作ることが目的です。

そのため、広告開始前に商品別の広告前利益を計算し、損益分岐CPAと目標CPAを決めてください。

そのうえで商品ページを整え、購入イベントを正しく計測し、最も相性のよい媒体へ商品と予算を集中させます。

配信後はCTRやROASだけを見るのではなく、商品ページ閲覧、カート投入、購入手続き、購入、返品、キャンセル、最終的な利益まで確認します。

成果が弱い場合も、広告設定だけを変更しないでください。クリック後に離脱しているなら商品ページ、カート後なら送料や決済、購入されても赤字なら価格・原価・CPAの問題を確認します。

30日間で準備、クリエイティブテスト、ファネル分析、停止・改善・拡大まで行い、利益が確認できる広告だけを段階的に伸ばす運用を目指してください。

広告を出す前に1商品の目標CPAを計算する

販売価格から商品原価、ショップ負担送料、梱包費、決済・販売手数料などを差し引き、1注文で広告費へ使える上限を確認してください。目標CPAが決まってから、広告する商品・媒体・予算を決めます。

広告流入後の商品ページを改善する

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