ブランド価値を高めるには顧客が迷わず商品に出会える体験が不可欠であり、EC辞書設計は検索ゼロ件を防ぐ重要な基盤です。

検索ゼロ件を減らすEC辞書設計の実践方法
ECサイトにおいて「検索結果が0件でした」という表示は、想像以上に大きな機会損失を生みます。なぜなら、検索行動を行うユーザーは、すでに購買意欲が高いからです。にもかかわらず、商品にたどり着けない場合、顧客はそのまま離脱してしまいます。
そこで重要になるのがEC辞書設計です。単に商品を登録するだけでは不十分であり、検索ワードの多様性に対応できる設計が求められます。本記事では、検索ゼロ件を減らすための具体的な辞書設計方法を、実務レベルで解説します。
EC辞書設計とは何か
まず、EC辞書設計とは「検索キーワードと商品データを結びつけるための言語設計」を指します。ここでいう辞書とは、類義語・表記揺れ・略語・誤字などを整理したデータベースのことです。
たとえば、「スニーカー」と「運動靴」は同義です。しかし、商品名に「スニーカー」しか登録されていなければ、「運動靴」で検索したユーザーはゼロ件になります。
つまり、EC辞書設計は“検索の翻訳機能”とも言える存在なのです。
なぜ検索ゼロ件が発生するのか
検索ゼロ件が起きる原因は、大きく3つに分かれます。
1. 表記揺れ
「Tシャツ」「Tシャツ」「ティーシャツ」など、表記の違いによる不一致です。
2. 類義語の未登録
「リュック」と「バックパック」のような言い換えに対応していないケースです。
3. 検索意図のずれ
ユーザーは「雨の日 バッグ」と検索しても、商品データに「防水」としか記載がない場合があります。
このように、ユーザー視点と運営者視点のズレが、検索ゼロ件を生み出しています。
EC辞書設計の基本ステップ
ステップ1:検索ログを分析する
まず、過去3か月分の検索ログを抽出します。ゼロ件ワードをリスト化し、頻度順に並べます。頻出ワードから対策することで、効率的に改善できます。
ステップ2:ワードを分類する
次に、ワードを以下のように分類します。
- 表記揺れ
- 類義語
- 略語
- 誤字
- 属性ワード(例:軽量、防水)
分類することで、対策の優先順位が明確になります。
ステップ3:辞書へ登録する
分類したワードを辞書に登録します。その際、単なる一致ではなく「正規ワードへ変換する」設計が理想です。
たとえば、
「リュック」→「バックパック」
「白」→「ホワイト」
のように統一することで、データ管理が簡潔になります。
実務で差が出るEC辞書設計のポイント
顧客視点で言語を集める
運営者が思いつく言葉だけでは不十分です。レビュー、問い合わせ、SNSコメントなどから実際の言い回しを収集します。
属性情報を細かく登録する
検索精度を高めるには、商品属性を充実させる必要があります。サイズ、素材、用途、季節などをタグ化することで、曖昧検索にも対応できます。
検索サジェストを活用する
検索窓に入力補助(サジェスト)機能を設けることで、ゼロ件リスクを事前に減らせます。
成功事例|EC辞書設計で改善したケース
あるアパレルECでは、検索ゼロ件率が12%ありました。しかし、辞書整備後は3%まで改善しました。その結果、検索経由売上が約18%増加しました。
また、食品ECでは「子ども おやつ」という検索に対応できていませんでしたが、「無添加」「小分け」などの属性登録を強化したことで、回遊率が向上しました。
よくある失敗と注意点
一方で、辞書を増やしすぎるとノイズが発生します。関連性の低い商品が表示されると、逆に離脱率が上がります。
そのため、登録後は必ず検索結果の精度を検証します。月1回の見直しを習慣化することが理想です。
今後の展望|検索は対話型へ進化する
将来的には、AIによる自然言語検索が主流になります。しかし、その基盤となるのは整理された商品データです。
つまり、EC辞書設計は今後も不可欠な土台なのです。
まとめ|検索体験を設計することが売上につながる
検索ゼロ件を減らすことは、単なる機能改善ではありません。顧客体験を守る重要な取り組みです。EC辞書設計を整備することで、商品発見率が向上し、結果として売上増加につながります。
👤 著者の個人の意見
現場支援の経験上、検索改善は費用対効果が非常に高い施策です。EC辞書設計は地味に見えますが、確実に成果へつながる基盤づくりだと実感しています。