
ECサイトの検索ログとは、利用者がサイト内検索へ入力した検索語や、その後の行動を記録したデータです。
検索回数だけを見るのではなく、検索結果が0件になったか、どの商品がクリックされたか、検索し直されたか、商品ページやカートへ進んだかまで確認すると、サイト内検索の問題を見つけやすくなります。
たとえば「軽い 通勤 バッグ」という検索が繰り返されているのに商品がクリックされていない場合、商品が存在しないとは限りません。
商品属性に重量や用途が登録されていない、検索結果の順位が意図と合っていない、一覧画面で重量を比較できない、といった原因も考えられます。
一方、「リュック」で0件になり、「バックパック」では商品が出る場合は、商品説明ではなく辞書や表記ゆれ対応を見直す方が適切です。
検索ログは、それだけで顧客の考えを断定できるデータではありません。
検索語を顧客意図の手掛かりとして使い、商品データ、検索結果、商品ページ、購入行動と組み合わせて原因を確認することが重要です。
この記事では、ECサイトの検索ログで見るべき指標、GA4でのサイト内検索計測、検索語の分類、ゼロ件・再検索・低クリックの原因分析、改善優先順位を実務の順番で解説します。
- 検索回数だけでなく検索後の行動まで確認する
- Google検索とサイト内検索を分けて分析する
- 検索語から顧客意図を断定せず仮説として扱う
- ゼロ件、低クリック、再検索を別の問題として分類する
- 辞書の問題と商品データの問題を分ける
- 検索結果ページと商品ページの問題も確認する
- CVRだけでなく商品到達やカート追加も見る
- 母数が少ない検索語を過度に評価しない
ECサイトの検索ログとは
ECサイトの検索ログとは、サイト内の検索窓で利用者が入力した語句と、それに続く行動を分析するためのデータです。
具体的には、次のような内容を確認します。
- どの検索語が使われたか
- 何回検索されたか
- 検索結果が何件表示されたか
- 0件になったか
- 検索結果の商品がクリックされたか
- 別の語句で検索し直されたか
- 商品ページへ進んだか
- カートへ追加されたか
- 購入されたか
Search Consoleでは主にGoogle検索からサイトへ到達するまでを確認します。サイト内検索ログでは、サイトへ来た後に自店の検索窓で何を探したかを確認します。
GA4でサイト内検索を確認する
GA4では、サイト内検索結果ページが表示されたときに、view_search_resultsイベントを収集できる場合があります。
検索語はsearch_termとして確認できます。
GA4の拡張計測機能では、検索結果ページのURLに検索用クエリパラメータが含まれる場合、サイト内検索として自動計測できる仕組みがあります。
最初に確認すること
- サイト内検索結果のURLを確認する
- 検索語がURLパラメータへ入るか確認する
- GA4の拡張計測機能でサイト内検索が有効か確認する
view_search_resultsが記録されているか確認するsearch_termに実際の検索語が入るか確認する
ECカートや検索アプリによってURL構造が異なります。検索結果ページを実際に開き、GA4のリアルタイムやDebugViewなどでイベントを確認してください。
Google Analyticsの自動収集イベントを確認する
検索ログで見るべき8つの指標
| 指標 | 確認できること | 問題の例 |
|---|---|---|
| 検索回数 | どの需要が多いか | 同じテーマが繰り返し検索される |
| 検索利用率 | 検索機能がどの程度使われているか | 検索窓が見つけにくい |
| ゼロ件率 | 商品を提示できなかった割合 | 表記ゆれ、商品属性不足 |
| 検索結果クリック率 | 結果から商品が選ばれたか | 順位、画像、価格表示の問題 |
| 再検索率 | 最初の結果で解決できなかったか | 結果のズレ、絞り込み不足 |
| 商品ページ到達率 | 検索から商品詳細へ進んだか | 結果一覧で商品を選べない |
| カート追加率 | 検索した商品が購入候補になったか | 価格、送料、商品情報不足 |
| 検索後購入率 | 検索利用後に購入されたか | 商品・カート・決済の問題 |
ゼロ件率=検索結果が0件だった検索回数÷全検索回数×100
検索結果クリック率=検索結果から商品がクリックされた検索回数÷結果が表示された検索回数×100
検索後購入率=検索を利用した購入セッション数÷検索利用セッション数×100
検索後購入率が低くても、検索結果までは適切で、商品価格や送料が原因の場合があります。検索結果クリック、商品到達、カート追加へ分解して確認します。
検索語を5種類に分類する
検索語をそのまま一覧で眺めるより、検索目的ごとに分類すると改善箇所が分かりやすくなります。
| 分類 | 検索例 | 主な確認項目 |
|---|---|---|
| 商品・ブランド名 | ABC バッグ | 商品名、別名、在庫 |
| カテゴリ | リュック、コーヒーミル | カテゴリ分類、類義語 |
| 属性 | 黒、軽量、A4 | 色、重量、サイズ |
| 用途 | 通勤、旅行、ギフト | 用途属性、商品説明 |
| 課題・条件 | 雨の日、収納多い | 機能、適合条件、説明不足 |
「軽い」と検索した理由が、持ち運び、肩への負担、子ども向けのどれかは検索語だけでは分かりません。商品クリック、閲覧ページ、問い合わせなどと合わせて確認します。
ゼロ件検索を分析する
検索結果が0件だった場合は、最初に「本当に商品がない」のか「商品はあるが検索できない」のかを分けます。
| 原因 | 例 | 対応 |
|---|---|---|
| 商品なし | 扱っていないサイズ | 近い商品・カテゴリへ案内 |
| 表記ゆれ | 白 / ホワイト | 表記正規化・辞書 |
| 類義語 | リュック / バックパック | 同義語設定 |
| 略称 | PCバッグ | 別名登録 |
| 属性不足 | 軽い 通勤 バッグ | 重量・用途データを整備 |
ゼロ件語の辞書設計までこのページで詳しく扱うと、専用記事と重複します。
検索回数は多いのに商品がクリックされない場合
検索結果が表示されているのに商品をクリックされない場合は、ゼロ件とは別の問題です。
確認すること
- 検索意図に近い商品が上位にあるか
- 商品画像から違いを判断できるか
- 価格が結果一覧で分かるか
- 在庫切れ商品が上位を占めていないか
- 色やサイズを確認できるか
- 検索語と一致した理由が分かるか
- 並び替え・絞り込みを使えるか
商品ページへ進んでいない状態では、商品説明やカートを直しても検索結果の問題は解決しません。
再検索が多い場合
最初の検索後に別の語句で検索し直される場合は、最初の結果で目的を達成できなかった可能性があります。
再検索の例
| 1回目 | 2回目 | 考えられること |
|---|---|---|
| バッグ | 通勤 バッグ | 最初の検索が広すぎた |
| 通勤 バッグ | 軽い 通勤 バッグ | 重量で絞りたい |
| リュック | バックパック | 最初の語句で結果が弱かった |
| 黒 バッグ | 黒 A4 バッグ | サイズ条件が必要 |
再検索をすべて失敗とみなす必要はありません。条件を徐々に絞る自然な行動もあります。
再検索後に目的の商品へ到達できているかまで確認します。
検索後に商品ページまで進むが購入されない場合
検索結果から商品ページまでは進んでいる場合、検索そのものより商品情報や販売条件を確認します。
商品ページで確認する項目
- 検索した条件を商品ページで確認できる
- サイズ・素材・重量が具体的である
- 商品写真が検索結果と一致している
- 価格と在庫が分かる
- 送料と発送予定が分かる
- 返品・交換条件が分かる
- 対象者や利用場面が分かる
たとえば「軽い バッグ」で検索した人を商品ページへ送ったのに、商品ページに重量が書かれていなければ、検索意図へ十分に答えていません。
検索利用者と非利用者を比較する
「検索利用者は購入意欲が高い」と決めつけるのではなく、自店のデータで比較します。
| 指標 | 検索利用 | 検索非利用 |
|---|---|---|
| 商品ページ閲覧率 | 確認値 | 確認値 |
| カート追加率 | 確認値 | 確認値 |
| 購入率 | 確認値 | 確認値 |
| 平均注文額 | 確認値 | 確認値 |
検索する人は、もともと商品を具体的に探していた可能性があります。検索利用者の購入率が高くても、「検索機能が購入率を高めた」と因果関係を断定しないでください。
改善する検索語の優先順位
検索語が多数ある場合は、すべてを同時に改善しません。
| 判断項目 | 確認する質問 |
|---|---|
| 検索回数 | 繰り返し発生しているか |
| 商品有無 | 該当商品を販売しているか |
| ゼロ件 | 商品があるのに0件か |
| クリック | 結果から商品を選ばれているか |
| 再検索 | 同じ目的で検索し直されているか |
| 商品重要度 | 主力商品・主力カテゴリか |
| 改善可能性 | 辞書・属性・UIで修正できるか |
優先しやすいパターン
- 検索回数が多いのに0件
- 商品は存在するのにクリックされない
- 主力商品に関する再検索が多い
- 検索後商品ページへ進むが必要情報が不足している
判断を急がないパターン
- 検索回数が1~2回しかない
- 商品をそもそも販売していない
- 意味が曖昧な検索語
- 季節要因が大きい商品
検索ログを改善へつなげる7つの手順
検索語と検索結果表示を正しく取得できているか確認します。
検索回数、0件、クリック、再検索、商品到達を並べます。
商品名、カテゴリ、属性、用途、課題へ分類します。
検索入力、結果表示、商品ページ、カートのどこで止まるか確認します。
辞書、商品属性、順位、絞り込み、商品ページから修正対象を選びます。
ゼロ件率だけでなくクリック、再検索、カートまで確認します。
関連性の低い商品が増えた場合は設定を戻すことも検討します。
症状別の改善方法
| 症状 | 主な原因候補 | 改善先 |
|---|---|---|
| 商品があるのに0件 | 表記ゆれ・類義語 | 検索辞書 |
| 用途検索で0件 | 商品属性不足 | 商品データ |
| 結果は出るがクリックされない | 順位・一覧情報 | 検索結果ページ |
| 何度も検索し直される | 結果のズレ・絞り込み不足 | ランキング・フィルター |
| 商品ページまでは進む | 商品情報・価格・送料 | 商品ページ |
| 画像や自然文で探したい需要 | 通常検索の入力限界 | 高度検索 |
EC全体の数値と組み合わせる
検索ログだけでは、売上全体の問題は判断できません。
次のデータも合わせて確認します。
- 流入元
- 商品ページ閲覧数
- カート追加
- 購入
- 平均注文額
- 返品
- 問い合わせ
- 商品別利益
検索後に商品ページへ十分進んでいるのに購入されない場合は、検索機能ではなく商品や販売条件が原因の可能性があります。
検索ログ分析でよくある失敗
検索回数が多い語句をそのまま商品説明へ追加する
検索意図と商品事実が一致する場合だけ反映します。
ゼロ件率を0%にしようとする
販売していない商品の検索まで無理に別商品へ結び付ける必要はありません。
CVRだけで検索品質を評価する
検索結果クリック、再検索、商品ページ到達へ分解します。
検索利用者のCVRが高いから検索改善の効果だと考える
もともとの購入意欲など別要因があるため因果関係を断定しません。
検索数が少ない語句を重視する
母数、主力商品との関係、繰り返し発生しているかを確認します。
Search Consoleをサイト内検索ログとして使う
Google検索のクエリと自店の検索窓の検索語は別に管理します。
分析してレポートを作るだけで終わる
問題を一つ選び、辞書、属性、結果画面、商品ページへ反映します。
検索ログ分析チェックリスト
計測
- サイト内検索イベントを取得できる
- 検索語を確認できる
- 検索結果0件を判別できる
- 検索後の商品クリックを確認できる
分析
- 検索語を分類している
- 検索回数を確認している
- ゼロ件率を確認している
- 検索結果クリック率を確認している
- 再検索を確認している
改善
- 辞書と商品属性を分けている
- 検索結果順位を確認している
- 絞り込みを確認している
- 商品ページまで確認している
評価
- 変更前の値を保存した
- 変更内容を記録した
- ゼロ件以外の副作用を確認した
- カート・購入まで確認した
ECサイトの検索ログ分析に関するFAQ
ECサイトの検索ログとは何ですか?
利用者がサイト内検索へ入力した検索語と、その後の検索結果閲覧や商品クリックなどを分析するためのデータです。
Search Consoleでサイト内検索語を確認できますか?
Search Consoleは主にGoogle検索からの検索クエリを確認するツールです。自店の検索窓の検索語はGA4やECカート、検索サービス側のログで確認します。
GA4でサイト内検索を確認できますか?
検索結果ページのURL構造などが対応していれば、view_search_resultsイベントとsearch_termを利用して確認できます。実際に計測されているか確認してください。
一番重要な検索ログ指標は何ですか?
一つだけでは判断できません。ゼロ件、検索結果クリック、再検索、商品ページ到達を組み合わせて、どの段階で問題が起きているか確認します。
検索ゼロ件が多い場合はどうしますか?
商品が存在するかを確認し、表記ゆれ、類義語、略称、誤字、商品属性不足へ分類します。
検索利用者のCVRが高ければ検索機能は成功ですか?
それだけでは判断できません。もともと購入意欲が高い利用者が検索している可能性もあるため、検索結果クリックや再検索なども確認します。
検索ログは何か月分確認すればよいですか?
一律の期間はありません。検索回数が少ないショップでは長めに集計し、季節商品や商品変更がある場合は期間を分けて確認します。
まとめ
- サイト内検索を正しく計測する
- 検索語と検索回数を取得する
- ゼロ件・クリック・再検索を確認する
- 検索語を商品名・属性・用途などへ分類する
- 問題が検索入力・結果・商品ページのどこにあるか特定する
- 辞書・商品属性・検索順位などから一つ修正する
- 変更前後の検索行動を比較する
- カート・購入・返品への影響も確認する
- 結果を記録して次の改善へ進む
検索ログは、ECサイト利用者がどの言葉で商品を探しているかを確認できる重要なデータです。
ただし、検索語だけから顧客の気持ちを断定したり、検索利用者の購入率だけで検索機能の成果を判断したりしないでください。
最初に見るべきなのは、検索回数、ゼロ件、検索結果クリック、再検索、商品ページ到達です。
商品があるのに0件になるなら辞書や商品属性、結果は出るのにクリックされないなら検索順位や一覧表示、商品ページまでは進むなら商品情報や販売条件を確認します。
検索ログ分析の目的は、レポートを作ることではありません。
利用者が商品を探せない理由を特定し、原因に合った改善を一つずつ実施することが重要です。