
サステナブルECでは、環境に配慮した取り組みを行うだけでなく、その内容を顧客へ正確に伝えることが重要です。
梱包材を減らしたり、再生素材を使ったりしていても、商品ページやショップ案内に説明がなければ、顧客は取り組みを確認できません。
一方で、「環境にやさしい」「完全にエコ」「CO₂をゼロにした」など、範囲や根拠が分からない表現を使うと、実際の取り組みより大きく見せていると受け取られる可能性があります。
重要なのは、サステナブルな印象を強くすることではありません。
何を、どの商品で、どの期間に、どの方法で改善したのかを、顧客が確認できるようにすることです。
この記事では、サステナブルECの取り組みを商品ページやショップ案内で伝える方法を、7つのポイントに分けて解説します。
環境表示の書き方、数値の扱い、認証マーク、比較表現、更新方法、グリーンウォッシュを防ぐチェック項目まで紹介します。
- 「環境にやさしい」だけで終わらせず、実施内容を書く
- 対象商品、素材、地域、期間などの適用範囲を示す
- 削減率や比較数値には基準と計測方法を添える
- 認証マークは対象商品と利用条件を確認する
- 改善できていることと今後の目標を分ける
- 商品ページ、配送案内、FAQで説明を一致させる
- 環境表示を定期的に点検・更新する
- 環境配慮だけで売上やリピートを保証しない
サステナブルECにおける環境表示とは
サステナブルECにおける環境表示とは、商品、梱包、配送、返品、回収などの環境配慮について、顧客へ情報を提供することです。
表示場所には、次のようなものがあります。
- 商品名
- 商品説明
- 素材・仕様欄
- 商品画像
- 梱包・配送案内
- カート・注文画面
- ショップ紹介ページ
- FAQ
- SNS投稿
- 広告
- 同梱物
環境表示は、商品の特徴を魅力的に見せるためだけの言葉ではありません。
顧客が商品やサービスを比較し、自分の考えに合うものを選ぶための判断情報です。
環境配慮を大きく見せる宣伝文句ではなく、素材、梱包、配送などの事実を説明する情報として掲載してください。
グリーンウォッシュとは
グリーンウォッシュとは、商品やサービスの環境特性を誇張したり、実態より環境に配慮しているように見せたりする表示です。
意図的に誤解させる場合だけでなく、説明不足によって顧客が実際より広い範囲へ適用されると受け取る場合もあります。
誤解を招きやすい表示
- 環境にやさしい
- 地球にやさしい
- 完全にエコ
- 環境負荷ゼロ
- 100%サステナブル
- CO₂を完全に削減
- 自然に戻る
- すべてリサイクルできる
これらの言葉を使うこと自体が常に不適切というわけではありません。
ただし、何を基準にしているのか、どの部分に該当するのか、どの条件で成立するのかが分からなければ、顧客が判断できません。
| 曖昧な表現 | 具体的な表現例 |
|---|---|
| 環境にやさしい梱包です | 通常包装より同梱する緩衝材を減らした簡易包装を選択できます |
| リサイクル素材の商品です | 外装生地の一部に再生ポリエステルを使用しています |
| プラスチックフリーです | 商品発送時の外袋にはプラスチックを使用していません |
| CO₂を削減しました | 配送箱の変更により、1件あたりの資材重量を以前より減らしました |
| すべてリサイクルできます | 紙箱は地域の分別方法に従って資源回収へ出せます |
「ゼロ」「完全」「100%」「すべて」などの表現は、対象範囲と根拠を明確にできない場合は避けてください。
サステナブルECの伝え方7つのポイント
| ポイント | 確認する内容 |
|---|---|
| 実施内容を具体化する | 何を変更・改善したか |
| 適用範囲を示す | 全商品か一部商品か |
| 比較基準を示す | 何と比べて削減したか |
| 根拠を保存する | 仕様書、計測記録、認証情報があるか |
| 認証を正しく扱う | 対象、期限、表示条件を確認したか |
| 限界も伝える | 未対応範囲や注意点を示したか |
| 定期的に更新する | 古い情報が残っていないか |
1.抽象的な言葉ではなく実施内容を書く
環境表示では、価値観を示す言葉より、実際に行っていることを優先します。
たとえば「サステナブルなショップです」と書くだけでは、顧客は具体的な取り組みを判断できません。
具体化しやすい情報
- 使用している素材
- 梱包材の種類
- 簡易包装の選択可否
- 配送方法
- 商品の耐久性
- 修理・メンテナンス方法
- 交換部品の有無
- 詰め替え商品の有無
- 回収・再利用の方法
- 廃棄時の分別方法
商品ページの記載例
この商品は、通常包装と簡易包装を選べます。簡易包装では、ギフト用の外装と紙袋を同梱しません。
長く使用できるよう、交換用パーツを販売しています。交換方法は商品同梱の説明書と当サイトのメンテナンスページで確認できます。
方針や理念だけでなく、商品、包装、配送、修理など、購入者が実際に確認できる内容を記載します。
2.対象商品と適用範囲を明確にする
一部の商品や包装にだけ該当する取り組みを、ショップ全体の特徴として表示すると、誤解を招く可能性があります。
明記したい範囲
- 全商品か一部商品か
- 商品のどの部品・素材か
- 通常包装か簡易包装か
- 国内配送だけか海外配送も含むか
- 自社工程か取引先工程か
- 常時実施か期間限定か
- 現在販売中の商品だけか過去商品も含むか
| 分かりにくい表示 | 範囲を明示した表示 |
|---|---|
| 再生素材を使用しています | 対象商品の外装生地に再生素材を使用しています |
| プラスチックを減らしました | 国内発送用の外袋を紙製へ変更しました |
| 環境配慮型配送です | 対象地域ではまとめ配送を選択できます |
| 持続可能な素材です | 認証を取得した対象素材を商品の一部に使用しています |
一部の商品、素材、配送地域だけに該当する場合は、対象範囲を近くに表示してください。
3.削減率や比較表現の基準を示す
「従来より削減」「以前より少ない」と表示する場合は、何と比較したのかを説明します。
数値と一緒に示したい情報
- 比較対象
- 比較した期間
- 対象商品
- 計測単位
- 計算方法
- 対象工程
- 計測者・情報提供者
- 端数処理
表示例
2025年に使用していた配送箱と比較し、対象商品1件あたりの箱重量を減らしました。対象は通常サイズの国内発送です。
2026年4月から6月までの発送実績を集計し、簡易包装を選択した注文の割合を公開しています。
「CO₂を30%削減」などの数値は、対象範囲と計算方法を説明できる場合に限って使用してください。
4.表示の根拠を保存する
商品ページへ掲載した環境表示は、後から根拠を確認できるようにします。
保存しておきたい資料
- 素材の仕様書
- 仕入先からの証明書
- 認証書
- 認証の有効期限
- 梱包資材の購入記録
- 重量・使用量の計測記録
- 変更前後の写真
- 配送・返品データ
- 社内の確認記録
- 公開日と更新履歴
商品IDやSKUごとに、使用素材、認証、表示文、確認日を管理すると、商品変更時の更新漏れを防ぎやすくなります。
5.認証マークと環境ラベルを正しく使う
認証マークや環境ラベルを掲載するときは、ロゴ画像を入れるだけでは不十分です。
どの組織が、どの基準で、何を認証しているのかを確認します。
掲載前の確認事項
- 認証の運営主体
- 認証の対象商品
- 認証の対象素材・工程
- 有効期限
- ロゴの利用条件
- 表示できる媒体
- 表現できる範囲
- 認証番号の掲載要否
商品ページでの表示例
この認証は、商品の包装ではなく、使用している対象素材に適用されています。
認証の詳細と対象範囲は、認証機関の公式ページで確認できます。
同じショップの商品でも、認証対象外の商品には表示しないでください。
6.できていないことや条件も伝える
環境配慮を伝えるときは、成果だけでなく条件や限界を示すと、取り組みの範囲が分かりやすくなります。
記載できる注意事項
- 一部の商品だけが対象である
- ギフト包装には別の資材を使用する
- 商品保護のため緩衝材を省けない商品がある
- 地域によって分別方法が異なる
- 海外配送には異なる包装を使用する
- 在庫の切り替え期間中は旧資材が届く場合がある
- 現時点では回収対象外の商品がある
すでに実施していることは現在形で、今後行う予定は目標や計画として表示します。
目標の表示例
現在は対象商品のみ簡易包装へ対応しています。今後、破損率を確認しながら対象商品の拡大を検討します。
7.表示内容を定期的に更新する
商品素材、仕入先、梱包材、配送方法が変わった場合は、環境表示も更新する必要があります。
更新が必要になる場面
- 素材を変更した
- 仕入先を変更した
- 包装資材を変更した
- 配送会社や配送方法を変更した
- 認証の期限が切れた
- 認証対象が変更された
- 回収サービスを終了した
- 数値の集計期間が変わった
- 商品をリニューアルした
管理表へ記録する項目
| 管理項目 | 記録内容 |
|---|---|
| ページURL | 環境表示を掲載しているページ |
| 対象商品 | 商品名、SKU、カテゴリ |
| 表示文 | 実際に掲載している文章 |
| 根拠資料 | 仕様書、認証書、計測記録 |
| 確認日 | 最後に内容を確認した日 |
| 次回確認日 | 再確認する予定日 |
| 担当者 | 確認・更新する担当者 |
以前使用していた素材や終了したサービスの情報が商品ページへ残っていないか、定期的に点検してください。
環境配慮を掲載する場所
すべての情報を商品ページ上部へ詰め込む必要はありません。
購入判断に必要な情報と、詳しい背景説明を分けて掲載します。
| 掲載場所 | 掲載する内容 |
|---|---|
| 商品ページ上部 | 購入判断に関係する素材、包装、認証 |
| 商品仕様欄 | 対象部位、素材割合、認証番号 |
| 商品説明 | 選定理由、製造背景、長く使う方法 |
| 配送案内 | 簡易包装、まとめ配送、地域条件 |
| FAQ | 分別、廃棄、返品、回収方法 |
| 専用ページ | 方針、対象範囲、実績、更新履歴 |
素材、数量、価格、送料、返品など購入判断に関係する内容は、商品ページでも確認できるようにしてください。
商品ページへ使える環境表示テンプレート
簡易包装、再生素材、修理対応など、実際の内容を短く示します。
対象商品、素材、部位、地域、注文方法を記載します。
何をどのように変更・改善したかを説明します。
注文画面、備考欄、会員ページなどの選択手順を示します。
ギフト、海外配送、商品保護などの例外条件を記載します。
簡易包装の記載例
通常包装と簡易包装を選択できます。簡易包装では、ギフト用の外装、紙袋、案内冊子を同梱しません。商品保護に必要な箱と緩衝材は使用します。ギフト配送では通常包装をご利用ください。
再生素材の記載例
対象商品の外装生地に再生ポリエステルを使用しています。商品のすべての部品が再生素材ではありません。素材の構成は商品仕様欄で確認できます。
修理対応の記載例
商品を長く使用できるよう、対象部品の交換と有償修理を受け付けています。商品の状態によっては修理できない場合があります。料金と受付方法は修理案内ページをご確認ください。
環境表示の効果を確認するKPI
環境表示を追加しただけで、信頼やリピートが高まったと判断することはできません。
表示前後の顧客行動や問い合わせを確認します。
| 確認項目 | 主なKPI | 分かること |
|---|---|---|
| 情報閲覧 | 環境説明の閲覧率、リンククリック率 | 情報に関心があるか |
| 包装選択 | 簡易包装選択率 | 顧客が選択しているか |
| 問い合わせ | 素材、認証、廃棄に関する問い合わせ数 | 説明が不足していないか |
| 購入 | 商品ページ購入率 | 購入を妨げていないか |
| 顧客評価 | レビュー、アンケート | 取り組みがどう受け取られたか |
| 運営 | 梱包資材量、破損率、作業時間 | 運営改善につながったか |
| 返品 | 返品率、返品理由 | 説明と実物のずれがないか |
簡易包装選択率=簡易包装を選んだ注文数÷選択可能な注文数×100
環境説明閲覧率=環境説明を閲覧した利用者数÷対象商品ページの利用者数×100
商品品質、価格、配送、接客、季節、キャンペーンなど、ほかの要因も合わせて確認してください。
環境表示を公開する6つの手順
商品、素材、梱包、配送、修理、回収に分けて記録します。
仕様書、仕入先情報、認証書、計測記録を集めます。
商品、素材、部位、地域、期間を明確にします。
「エコ」「環境にやさしい」を、実際の行動や素材へ置き換えます。
商品説明、配送案内、FAQ、広告の表現が一致しているか確認します。
商品や資材の変更時に更新できる管理方法を作ります。
サステナブルECの伝え方でよくある失敗
「環境にやさしい」だけで説明する
どの素材や工程に該当するか分からないため、実施内容へ置き換えます。
一部商品の取り組みをショップ全体へ広げる
対象の商品、素材、注文方法を明記してください。
比較対象なしで削減率を掲載する
比較した商品、期間、単位、計算方法を説明します。
認証マークだけを掲載する
認証の対象と意味を顧客が確認できるようにします。
将来目標を現在の実績として書く
実施済みの内容と今後の計画を分けます。
環境配慮を理由に品質を下げる
梱包を減らして破損が増える場合は、資材量と商品保護を見直します。
商品変更後も古い説明を残す
素材、梱包、認証の変更時に表示を更新します。
リピート増加を環境施策だけの成果にする
品質、価格、配送、接客などの影響も含めて評価します。
環境表示の公開前チェックリスト
表示内容
- 何を改善したか具体的に書いている
- 対象商品と対象範囲が分かる
- 現在の実績と将来目標を分けている
- 強すぎる表現を使っていない
- 例外条件や注意点を記載している
数値と比較
- 比較対象を示している
- 計測期間を示している
- 計算方法を説明できる
- 対象工程を明確にしている
- 根拠資料を保存している
認証・ラベル
- 認証の運営主体を確認している
- 対象商品を確認している
- 有効期限を確認している
- ロゴの使用条件を確認している
- 認証の対象範囲を説明している
ページ間の整合性
- 商品ページと配送案内の内容が一致している
- 広告と商品ページの表現が一致している
- SNS投稿で説明を誇張していない
- FAQに必要な注意事項を掲載している
- 古い情報が残っていない
更新管理
- 確認日を記録している
- 次回確認日を決めている
- 更新担当者を決めている
- 商品変更時の確認手順がある
- 認証期限を管理している
サステナブルECの伝え方に関するFAQ
「環境にやさしい」と商品ページに書いてもよいですか?
言葉だけでは対象や根拠が分からないため、何をどのように改善したのかを併記してください。
説明できない場合は、より具体的な表現へ置き換えます。
小さな取り組みでも掲載する意味はありますか?
あります。
簡易包装、交換部品、長く使う方法など、実際に行っていることを具体的に伝える方が、抽象的な大きな主張より確認しやすくなります。
環境ラベルは自由に使えますか?
自由に使えるとは限りません。
認証やラベルごとに、対象商品、ロゴの利用条件、表示方法を確認してください。
再生素材の割合は必ず表示すべきですか?
割合を確認できる場合は、対象部位とともに示すと分かりやすくなります。
正確な割合を確認できない場合は、推測した数値を掲載しないでください。
目標値を商品ページに掲載できますか?
掲載できますが、現在の実績ではなく、将来の目標であることを明確にしてください。
対象期間、範囲、進捗の確認方法も示します。
環境配慮を伝えればリピート率は上がりますか?
必ず上がるとは限りません。
商品品質、価格、配送、接客などが前提です。表示前後の顧客行動やレビューを確認してください。
環境表示はどのくらいの頻度で更新すべきですか?
素材、仕入先、梱包、認証などを変更したときは、その都度確認します。
変更がない場合でも、定期的に内容と根拠資料を点検してください。
まとめ
- 現在行っている環境配慮を一覧化する
- 仕様書や認証などの根拠を確認する
- 対象商品と適用範囲を決める
- 抽象的な言葉を具体的な説明へ置き換える
- 比較数値には基準と期間を添える
- 認証マークの利用条件を確認する
- 実績と将来目標を分ける
- 商品ページ、配送案内、FAQを一致させる
- 公開日と次回確認日を記録する
サステナブルECでは、環境配慮を大きく見せることより、顧客が確認できる形で正確に伝えることが重要です。
「環境にやさしい」「完全にエコ」といった抽象的な言葉だけでは、何が改善されたのか分かりません。
素材、梱包、配送、修理、回収など、実際に行っていることへ置き換えてください。
一部の商品や工程だけに該当する場合は、対象範囲も明記します。
数値や比較を掲載する場合は、比較対象、期間、計算方法を説明できる状態にします。
認証や環境ラベルは、対象商品、有効期限、ロゴの利用条件を確認してください。
環境表示は一度公開して終わりではありません。
素材、梱包、配送、認証が変わったときに更新できる管理方法を作り、正確な情報を維持することが信頼につながります。