EC滞留在庫チェック|30・60・90日で見直す20項目

ECを運営していると、「在庫はあるのに最近ほとんど売れていない商品」が少しずつ増えることがあります。

こうした滞留在庫を長期間そのままにすると、保管スペースを圧迫するだけでなく、 次の商品を仕入れるための資金も在庫に固定されてしまいます。

重要なのは、売れなくなってから慌てて処分するのではなく、 30日・60日・90日など一定のタイミングで在庫の状態を確認し、早めに対応を変えることです。

この記事では、小規模ECでも実践しやすいように、 滞留在庫を30・60・90日の3段階で確認する20項目のチェックリストと、 販促・値下げ・セット販売・発注停止・処分までの判断方法を解説します。

この記事の要点
  • 30日では「売れ行きが鈍っていないか」を早期確認する
  • 60日では価格・販促・商品ページ・販売チャネルを見直す
  • 90日では継続販売か在庫圧縮かを具体的に判断する
  • 在庫数量だけでなく「最終販売日」と「販売速度」を見る
  • 値下げ前に利益がどこまで残るかを確認する
  • 売れないSKUへの追加発注を先に止める
  • 処分後は原因を残し、次回発注へ反映する
30・60・90日は絶対的な基準ではありません

食品、季節商品、ファッション、日用品、受注生産品などでは、 適切な在庫期間が大きく異なります。

この記事の30・60・90日は、 在庫を放置しないための管理タイミングの一例として利用してください。 自社商品の販売周期、賞味期限、季節性、仕入れリードタイムなどに合わせて調整することが重要です。

ECの滞留在庫とは

滞留在庫とは、在庫として保有しているものの、 一定期間販売されていない、または販売速度が大きく低下している商品を指します。

「90日売れなければ必ず滞留在庫」というような共通の期間が決まっているわけではありません。

たとえば、月に1回売れる高単価商品と、 毎日販売する消耗品では、同じ30日間売れなかった場合でも意味が異なります。

滞留在庫は数量だけで判断しない

在庫数が多いから滞留在庫とは限りません。 販売速度が速ければ、多めの在庫を持っていても短期間で消化できます。

逆に在庫が5個しかなくても、半年間1個も売れていなければ、 見直すべき在庫になる可能性があります。

最低限確認したい3つの数字
  • 現在庫数:現在何個残っているか
  • 最終販売日:最後に売れたのはいつか
  • 平均販売数:一定期間に何個売れているか

まず確認したい在庫指標

30・60・90日のチェックを行う前に、 SKUごとに基本的な数字を確認できる状態にしておくと判断しやすくなります。

指標 確認する内容 利用目的
現在庫数 現在販売可能な数量 在庫金額・過剰量の把握
最終販売日 最後に商品が売れた日 長期間売れていないSKUの発見
30日販売数 直近30日間の販売数量 最近の販売速度を確認
60日販売数 直近60日間の販売数量 短期的な変動との区別
90日販売数 直近90日間の販売数量 中期的な需要を確認
在庫金額 原価 × 在庫数量 資金がどれだけ在庫化しているか確認
在庫消化期間 現在庫 ÷ 平均販売数 現在庫を売り切るまでの目安
販売数が0の商品は計算だけで判断しない

直近期間の販売数が0の場合、在庫消化期間を通常の計算式で求めることはできません。

その場合は最終販売日、アクセス数、季節性、商品ページの状態、 過去の販売実績などを確認して判断します。

30・60・90日で何を変えるのか

確認時期 目的 主な対応
30日 早期発見 売れ行き・露出・発注状況を確認
60日 販売改善 価格・販促・セット販売・チャネルを見直す
90日 在庫圧縮 発注停止・値下げ・処分・再発防止を判断
ポイント|時間が経つほど判断を強くする

30日時点では原因確認を中心にし、 60日で販売施策を試し、 90日になっても改善しない場合は在庫を減らす判断へ進みます。

「そのうち売れるかもしれない」と判断を先送りし続けないことが重要です。

30日チェック|売れ行き低下を早く見つける8項目

30日時点では、すぐに値下げや処分をする必要はありません。

まず、販売が一時的に落ちているだけなのか、 問題が起き始めているのかを確認します。

1 最終販売日を確認する

SKUごとに最後に販売された日を確認します。

通常は毎週売れる商品なのに30日間売れていない場合は、 需要低下や商品ページの問題などを疑います。

2 直近30日の販売数量を確認する

前月や過去3か月と比較し、販売速度がどの程度変化しているかを確認します。

単に「売れた・売れていない」だけでなく、 10個から3個へ減ったなど、販売ペースの変化を見ることが重要です。

3 現在庫と販売速度のバランスを見る

月5個売れる商品を100個保有している場合、 在庫数だけを見るよりも「現在の販売速度では長期間残る」ことが問題になります。

現在庫を平均販売数量で割り、 何か月分の在庫を持っているかを確認します。

4 追加発注が残っていないか確認する

販売が鈍っている商品に、さらに発注済み在庫が入荷すると過剰在庫が拡大します。

発注残、入荷予定、定期発注設定などを確認し、 必要であれば追加発注を一時停止します。

5 季節性・販売時期を確認する

季節商品は、通常商品と同じ基準で判断できません。

シーズン開始前なのか、ピーク期間なのか、 シーズン終了が近いのかによって対応を変えます。

6 商品ページへのアクセスを確認する

商品ページへのアクセス自体が減っているのか、 アクセスはあるのに購入されていないのかを分けて確認します。

アクセスが少なければ集客・露出、 アクセスがあるのに売れなければ商品ページや価格などを確認します。

7 価格競争力を確認する

販売開始時には適切だった価格でも、 市場価格や競合商品の価格が変化している場合があります。

値下げをすぐ実施するのではなく、 競合価格、送料、ポイント、付属サービスなどを含めて比較します。

8 商品ページに販売阻害要因がないか確認する

在庫があるのに「在庫切れ」と表示されている、 配送予定が不自然に長い、画像が表示されないなど、 商品ページ側の問題で販売が止まっていないか確認します。

30日時点では原因を特定する

この段階では大幅な値下げより、 「なぜ販売速度が落ちているのか」を確認することを優先します。

60日チェック|販売方法を見直す7項目

60日程度経過しても販売状況が改善しない場合は、 確認だけでなく具体的な販売改善策を試します。

9 値下げ可能な最低価格を確認する

値下げを行う前に、 商品原価、決済手数料、送料、広告費などを含め、 どこまで価格を下げられるか確認します。

売上だけを作るために赤字販売を続けないよう、 値下げ後の利益を事前に計算してください。

10 商品ページを改善する

商品名、メイン画像、説明文、使用例、サイズ情報、 FAQ、レビューなどを見直します。

特にアクセスがあるのに購入されていない商品は、 「購入前に知りたい情報」が不足していないか確認します。

11 販売チャネルごとの実績を比較する

自社ECでは売れなくても、 モール、実店舗、卸販売など別チャネルでは需要がある場合があります。

チャネル別の販売実績を確認し、 売れやすい場所へ在庫を移すことも検討します。

12 サイズ・色などSKU別の偏りを確認する

商品全体では売れていても、 特定の色やサイズだけ残っている場合があります。

商品単位ではなくSKU単位で確認し、 次回発注数量の調整につなげます。

13 セット販売・まとめ買いを検討する

単品では動きにくい商品でも、 売れ筋商品と組み合わせることで販売しやすくなる場合があります。

関連商品のセット、まとめ買い、送料無料条件との組み合わせなどを検討します。

14 販促費を追加する価値があるか確認する

広告、メール、SNS、クーポンなどを利用する場合は、 「在庫を減らすために広告費を使いすぎていないか」を確認します。

粗利の小さい商品へ広告費を追加し続けるより、 値下げやセット販売の方が効率的な場合もあります。

15 保管コストを確認する

倉庫費用、保管スペース、棚作業、棚卸しなど、 在庫を持ち続けることで発生する負担を確認します。

商品単体では利益が出ても、 長期保管によるコストを含めると早めに在庫を減らした方がよい場合があります。

60日は「売り方を変える」タイミング

30日時点で原因を確認し、 60日でも改善しない場合は、 商品ページ、価格、販売チャネル、セット販売、販促など、 実際の販売方法を変更します。

90日チェック|残す・減らす・処分する5項目

90日以上販売が停滞している商品は、 「いつか売れる」という期待だけで保有を続けないことが重要です。

販売を続ける価値があるのか、 在庫を圧縮した方がよいのかを具体的に判断します。

16 追加発注を停止する

長期滞留しているSKUは、 自動発注や定期発注の対象から外れているか確認します。

在庫処分を進めながら新しい在庫が入荷する状態を防ぎます。

17 最終販売価格を決める

通常価格での販売継続、期間限定値下げ、 アウトレット価格など、最終的な販売方針を決めます。

値下げ率ではなく、 在庫を保有し続けるコストと回収できる金額を比較して判断します。

18 返品・移動・別販路の可能性を確認する

仕入先への返品が可能か、 他店舗や別倉庫へ移動できるか、 卸・アウトレットなど別販路で販売できるか確認します。

契約条件や費用を確認したうえで選択してください。

19 廃棄・寄付・再利用を含めた出口を決める

販売継続が難しい場合は、 廃棄だけでなく、寄付、リサイクル、部材利用など、 商品特性に応じた選択肢を確認します。

食品、化粧品、電気製品などは法令や安全面の確認が必要な場合があるため、 商品に合った方法を選びます。

20 滞留した原因を次回発注へ反映する

在庫を処分して終わりにすると、 同じ商品や似た商品で再び過剰在庫が発生する可能性があります。

売れ残った原因を記録し、 初回発注量、追加発注点、安全在庫、季節商品の終了時期などを見直します。

90日を超えたら「保有を続ける理由」を確認する

値上がり予定、次シーズン需要、安定した定期需要など、 在庫を保有する合理的な理由がある商品まで処分する必要はありません。

一方で、具体的な販売見込みがないまま保有を続けている場合は、 在庫資金と保管スペースを別の商品へ回した方がよい可能性があります。

20項目を一覧で確認する滞留在庫チェックリスト

No. 確認項目 タイミング
1 最終販売日 30日
2 直近30日の販売数量 30日
3 現在庫と販売速度 30日
4 追加発注・入荷予定 30日
5 季節性・販売時期 30日
6 商品ページへのアクセス 30日
7 価格競争力 30日
8 商品ページの販売阻害要因 30日
9 値下げ可能な最低価格 60日
10 商品ページ改善 60日
11 販売チャネル別実績 60日
12 SKU別の在庫偏り 60日
13 セット販売・まとめ買い 60日
14 販促費を追加する価値 60日
15 保管コスト 60日
16 追加発注停止 90日
17 最終販売価格 90日
18 返品・在庫移動・別販路 90日
19 廃棄・寄付・再利用 90日
20 原因分析と次回発注への反映 90日

在庫を3段階に分けると判断しやすい

SKU数が多い場合は、1商品ずつ感覚で判断するのではなく、 状態によって在庫を分類すると管理しやすくなります。

継続販売

販売速度に問題がなく、 現在庫を通常販売で消化できる商品です。

要改善

販売速度が落ちており、 商品ページ、価格、販促などの改善が必要な商品です。

在庫圧縮

長期滞留しており、 値下げ、別販路、処分などを具体的に進める商品です。

滞留在庫チェックを定例業務にする

滞留在庫対策は、一度だけ実施するよりも、 月次業務として繰り返す方が効果的です。

1 月初に在庫一覧を出す

SKU、在庫数、原価、最終販売日、30・60・90日の販売数を一覧にします。

2 滞留候補を抽出する

自社で設定した日数や販売速度を基準に、見直し対象SKUを抽出します。

3 対応を決める

継続販売、商品ページ改善、値下げ、セット販売、発注停止など、 SKUごとの対応を決めます。

4 担当者と期限を決める

「確認する」だけで終わらせず、誰がいつまでに対応するかを決めます。

5 翌月に結果を確認する

販売数、在庫数、粗利などを再確認し、施策を継続するか変更します。

小規模ECは月1回の確認から始める

毎日在庫分析を行う必要はありません。

まずは月1回、 「長期間売れていない商品」と「在庫月数が急増した商品」を確認するだけでも、 在庫の放置を減らしやすくなります。

滞留在庫管理でよくある失敗

1 在庫数量だけを見る

在庫10個が多いか少ないかは、商品の販売速度によって異なります。 販売数量や最終販売日も合わせて確認します。

2 すぐに値下げする

商品ページの表示不具合や在庫連携ミスが原因の場合、 値下げしても問題は解決しません。

まず原因を確認してから価格を変更します。

3 売れないのに発注を続ける

自動発注設定や定期発注が残っていると、 在庫削減中にも商品が追加されます。

滞留候補になった段階で発注状況も確認します。

4 値下げ率だけで判断する

「30%OFFなら売れる」と考えるのではなく、 値下げ後に残る利益と保有コストを比較します。

5 処分して原因を記録しない

発注量過多、需要予測の誤り、色・サイズ構成、 季節終了時期などを記録しなければ、同じ問題を繰り返します。

EC滞留在庫チェックに関するFAQ

何日売れなければ滞留在庫ですか?

一律の日数はありません。 商品の販売頻度、季節性、賞味期限、仕入れ期間などによって適切な基準は異なります。

自社商品の通常販売周期を基準に、 30・60・90日など段階的な確認基準を設定する方法があります。

30日売れなければ値下げした方がよいですか?

必ずしも値下げする必要はありません。

まずアクセス数、価格、商品ページ、季節性、 在庫表示などを確認し、売れていない原因を調べます。

売れない商品は90日で処分すべきですか?

90日という期間だけで自動的に処分する必要はありません。

今後の販売見込み、保管コスト、季節性、 商品価値、別販路の可能性などを確認して判断します。

滞留在庫はSKU単位で確認した方がよいですか?

はい。 商品全体では売れていても、特定の色やサイズだけが残るケースがあります。

可能であれば商品単位ではなくSKU単位で最終販売日と販売速度を確認します。

在庫管理ツールは必要ですか?

SKU数が少ない場合は表計算でも管理できます。

SKU数、販売チャネル、倉庫数が増え、 手作業で最終販売日や在庫数を集計する負担が大きくなった場合は、 在庫管理ツールや自動連携を検討するとよいでしょう。

まとめ|滞留在庫は30・60・90日で対応を強める

滞留在庫は、長期間売れなくなってから対応するより、 販売速度が落ち始めた段階で確認する方が対策の選択肢を増やせます。

30・60・90日の基本対応
  • 30日:販売速度・アクセス・価格・発注状況を確認する
  • 60日:商品ページ・販促・セット販売・販売チャネルを改善する
  • 90日:発注停止・値下げ・別販路・処分を具体的に判断する

特に重要なのは、 在庫数量だけではなく最終販売日・販売速度・在庫金額を合わせて見ることです。

また、在庫を減らして終わりにせず、 なぜ滞留したのかを記録し、 次回の発注量や発注タイミングへ反映させることで再発防止につながります。

まずは月1回、 30日以上販売されていないSKUを抽出するところから始めてみましょう。

まずは30日以上動いていないSKUを確認しましょう

在庫一覧から「最終販売日が古い商品」を抽出し、 販売速度・現在庫・追加発注の有無を確認することから始めてみてください。

過剰在庫の原因と対策を確認する

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