ゼロパーティデータとは?ECでの集め方・活用法と注意点

ECでゼロパーティデータを取得し商品提案や接客へ活用する方法

ゼロパーティデータとは、顧客が自分の意思で企業へ直接伝える、好み、購入目的、予算、利用シーンなどの情報です。

たとえば、「自宅用かギフト用か」「どのカテゴリに興味があるか」「どの価格帯を希望しているか」といった質問へ顧客自身が回答した情報が該当します。

ECでは購入履歴や閲覧履歴から顧客行動を確認できますが、それだけでは「なぜ商品を探しているのか」まで判断できない場合があります。

そこで、推測するより本人へ直接確認した方がよい情報だけを質問し、商品提案、商品診断、メール配信、FAQなどへ利用するのがゼロパーティデータ活用の基本です。

ただし、本人が自発的に回答した情報だからといって、自由に収集・利用できるわけではありません。

氏名や会員IDなどと結び付く場合は個人情報としての扱いを確認し、何のために取得し、どこで利用するのかを分かりやすく示す必要があります。

この記事では、ゼロパーティデータの意味、ファーストパーティデータとの違い、ECで集める情報の選び方、取得方法、活用手順、KPI、個人情報の注意点を解説します。

この記事の要点
  • ゼロパーティデータは顧客が意図的に直接共有する情報
  • 法令上のデータ分類ではなくマーケティング上の考え方
  • 行動履歴から推測できない目的・好み・希望を中心に聞く
  • 質問数ではなく利用目的から取得項目を決める
  • 回答前に何へ利用するか分かるようにする
  • 取得した情報を商品提案・メール・FAQなどへ実際に使う
  • 使わないデータは集め続けない
  • 回答率だけでなく活用率や購入後の影響まで測定する

ゼロパーティデータとは

ゼロパーティデータ(Zero-Party Data)は、顧客が意図的かつ積極的に企業やブランドへ共有するデータを指すマーケティング上の考え方です。

代表的な情報には次があります。

  • 購入目的
  • 利用シーン
  • 予算帯
  • 好みの色・デザイン
  • 希望サイズ
  • 興味のあるカテゴリ
  • 自宅用・ギフト用
  • 今後知りたい情報
  • 希望する配信内容

ポイントは、閲覧行動から企業側が推測した情報ではなく、本人が自分で回答していることです。

Forresterのゼロパーティデータ解説を確認する

「ゼロパーティデータ」は法律上の分類ではない

ゼロパーティデータという名前だけで、個人情報保護法の対象外になるわけではありません。取得する内容と、個人を識別できる状態かどうかを別途確認します。

ゼロパーティデータと他のデータの違い

種類 特徴
ゼロパーティデータ 購入目的、好み、希望 本人が意図的に回答
ファーストパーティデータ 購入履歴、閲覧履歴、問い合わせ 自社との接点から取得
外部データ 外部事業者から取得するデータ 取得元や利用条件の確認が必要

実務では、ゼロパーティデータとファーストパーティデータを完全に別々に管理するとは限りません。

たとえば会員が「ギフト用」と回答し、その後ギフト商品を購入した場合、本人申告と購入履歴を組み合わせて顧客体験を改善できます。

本人申告と行動を組み合わせる

回答内容を絶対的な事実として固定せず、購入履歴や現在の行動も確認します。好みや目的は時間とともに変わる場合があります。

ECでゼロパーティデータを使う場面

ゼロパーティデータが役立つのは、行動履歴だけでは判断しにくい情報が商品選びへ影響する場面です。

顧客に聞く情報 ECでの活用例
自宅用・ギフト用 商品・包装・配送情報を出し分ける
予算 価格帯を絞って商品を提案する
利用目的 用途に合う商品やFAQを表示する
サイズ サイズガイドを案内する
興味カテゴリ メール内容を出し分ける
希望する情報 配信内容を選択できるようにする

聞かなくても分かる情報は質問しない

購入履歴から確認できる商品名や注文日を、アンケートでもう一度聞く必要はありません。

ゼロパーティデータでは、既存データから分からず、なおかつ回答によって接客を変えられる情報を優先します。

集める情報を決める4つの質問

取得項目を決めるときは、質問数を先に決めるのではなく、各項目について次を確認します。

1

この回答で何を変えるのか?

商品、表示、メール、FAQなど、利用先を決めます。

2

既存データから分からない情報か?

購入履歴や会員情報で確認できるなら、改めて聞く必要がない場合があります。

3

顧客が答える理由を説明できるか?

「商品を絞り込むため」など、回答による価値を明確にします。

4

継続して管理できるか?

更新できない情報や使わない情報は取得対象から外します。

「取れるから取る」を避ける

CRMへ保存できる項目数ではなく、現在のEC体験で実際に利用できる項目数から考えます。

ECで使いやすい取得例

ギフトEC

  • 自宅用・ギフト用
  • 贈る相手
  • 予算帯
  • 利用シーン

アパレルEC

  • 普段のサイズ
  • 好みの着用感
  • よく探すカテゴリ
  • 利用シーン

食品EC

  • 自宅用・ギフト用
  • 味の好み
  • 購入したい頻度
  • 予算帯

B2B EC

  • 法人利用か個人利用か
  • 主な用途
  • 想定数量
  • 見積希望
健康・病歴などを安易に聞かない

病歴や健康診断結果など、要配慮個人情報に該当する情報には特別な取扱いが必要です。商品提案に本当に必要なのかを確認し、不必要な情報は取得しないでください。

個人情報保護委員会の最新ガイドラインを確認する

ゼロパーティデータを集める主な方法

1.商品診断

いくつかの質問に回答してもらい、その場で商品候補を提示します。

回答するメリットを利用者が理解しやすい方法です。

2.購入前アンケート

商品選びに必要な情報を購入前に確認します。

入力項目を増やしすぎると購入導線を邪魔する可能性があるため、必須項目は最小限にします。

3.購入後アンケート

購入目的や選んだ理由など、購入完了後だから答えやすい内容を確認します。

4.会員の設定画面

興味カテゴリや希望する配信内容を、顧客自身が後から変更できるようにします。

5.メール

登録後や購入後に、興味・用途などを確認する簡単なフォームへ案内します。

回答する理由を明確にする

顧客に情報提供を求める場合は、何のために回答するのかを取得画面で分かるようにします。

分かりやすい例

  • 回答内容から商品候補を絞ります
  • ギフト用の配送・包装情報を表示します
  • 興味のあるカテゴリのお知らせを選べます
  • 回答はおすすめ商品の表示に利用します

避けたい例

  • サービス向上のため
  • マーケティングのため
  • より良い体験のため

後者は、具体的に何へ利用するのか利用者が判断しにくい表現です。

利用目的と回答メリットは別々に考える

「どのように利用するか」と「顧客に何が返ってくるか」の両方を説明すると、取得設計が分かりやすくなります。

取得前に個人情報の扱いを確認する

ゼロパーティデータという名称だけでは、個人情報かどうかは判断できません。

会員ID、氏名、メールアドレスなどと回答を結び付けて管理する場合は、個人情報としての取扱いを確認します。

フォーム公開前の確認項目

  • 取得する項目を決める
  • 利用目的を具体的に決める
  • 利用目的を回答前に確認できるようにする
  • プライバシーポリシーとの整合を確認する
  • 社内で閲覧できる人を限定する
  • 外部ツールへ送信するデータを確認する
  • 第三者提供の有無を確認する
  • 不要になった情報の扱いを決める

個人情報保護委員会は、個人情報の利用目的を「マーケティング活動に用いるため」のような抽象的表現だけで済ませず、本人が利用方法を合理的に想定できる程度まで具体化することが望ましいとしています。

個人情報保護法ガイドライン(通則編)を確認する

第三者提供する場合は別途確認する

取得した個人データを外部企業へ提供する場合は、本人同意を含む第三者提供のルールを確認してください。単に「本人が入力した情報だから提供できる」と判断しないようにします。

取得したデータをECへ反映する方法

商品提案

回答内容に一致する商品を提示します。

ただし、単に商品を絞るだけでなく、「なぜこの商品なのか」を回答内容と結び付けて説明します。

商品ページ

同じ質問が多い場合は、一人ずつ個別対応するだけでなく商品ページ自体も改善します。

たとえば「ギフト用」と答える顧客が多ければ、包装、配送日、メッセージカードなどを商品ページで見つけやすくします。

メール

希望カテゴリや用途に合わせて配信内容を変えます。

回答内容と関係のないメールまで大量に送らないことも重要です。

FAQ

特定の用途で同じ疑問が多ければ、該当顧客向けFAQへ反映します。

商品企画

同じ希望が繰り返し回答される場合は、新商品やセット商品の仮説として利用できます。

ゼロパーティデータを活用する7つの手順

1 改善する場面を一つ決める

商品選び、ギフト、メール、再購入などから一つ選びます。

2 必要な回答だけを決める

回答によって何を変えるのか説明できる項目だけ残します。

3 利用目的と回答メリットを示す

回答前に、何へ使い、回答すると何が変わるかを分かるようにします。

4 取得導線を一つ作る

商品診断、購入後アンケート、会員設定などから選びます。

5 回答を実際の接客へ反映する

商品、メール、FAQなどを回答内容によって変更します。

6 回答者の行動を確認する

回答後の商品クリック、購入、再訪などを確認します。

7 使わない項目を削除する

回答されても活用できない情報は継続取得しないようにします。

ゼロパーティデータ活用で見るKPI

段階 KPI 確認すること
取得 回答開始率 取得導線が利用されているか
取得 回答完了率 途中離脱が多くないか
活用 データ活用率 取得した項目を実際に利用しているか
提案 商品クリック率 提案商品が選ばれているか
導線 商品ページ到達率 回答後に商品へ進めたか
購入 回答後購入率 購入へつながったか
メール クリック・解除 配信内容が適切か
運用 更新・削除対象項目数 不要なデータが増えていないか

回答完了率=回答完了数÷回答開始数×100

データ活用率=実際に施策へ利用している取得項目数÷取得項目総数×100

回答者と非回答者の購入率だけで因果関係を断定しない

回答する顧客は、もともと商品への関心が高い可能性があります。商品クリックや診断完了など途中の行動も確認し、改善施策による影響と単純な顧客差を混同しないようにします。

回答内容を更新できるようにする

顧客の目的や好みは固定ではありません。

以前は自宅用だった顧客が、現在はギフトを探していることもあります。

更新候補

  • 興味カテゴリ
  • 配信希望
  • サイズ
  • 利用目的
  • 予算
  • ギフト需要

会員情報へ保存する場合は、顧客自身が確認・変更できる設定画面を検討します。

古い回答を永続的な顧客像にしない

過去の回答だけで表示内容を固定すると、現在の目的とずれることがあります。必要に応じて再確認できる設計にします。

ツールは取得方法ではなく利用先から選ぶ

ゼロパーティデータ専用の高機能ツールが必須ではありません。

目的 必要になる機能
簡単なアンケート フォーム・集計
商品診断 条件分岐・結果表示
メール出し分け 顧客属性・セグメント連携
会員設定 顧客自身による更新
複数チャネル活用 CRM等とのデータ連携

ツール選定で確認すること

  • スマートフォンで回答しやすい
  • 必要な質問形式を作れる
  • 回答を必要なシステムへ連携できる
  • 顧客IDとの紐付け方法が分かる
  • アクセス権限を管理できる
  • 不要データを削除できる
  • 外部事業者へ送信するデータを確認できる
  • 料金と運用負担が許容できる

ゼロパーティデータ活用でよくある失敗

多くの項目を集めることを目的にする

利用方法を説明できない項目は取得対象から外します。

本人申告だから正確だと決めつける

回答時期や目的によって内容は変化します。必要に応じて更新できるようにします。

利用目的を「マーケティング」とだけ書く

商品提案、メール配信など、実際の用途を分かるようにします。

回答後に何も変わらない

情報を聞いたのに同じ商品一覧を表示するだけでは、回答する価値が弱くなります。

取得データを配信にしか使わない

商品ページ、FAQ、商品診断、商品企画にも反映できないか確認します。

古いデータを更新しない

好み・用途・サイズなど変化する情報を永久に固定しません。

個人情報の扱いを後から考える

フォーム公開前に利用目的、保存、アクセス権、外部連携を確認します。

ゼロパーティデータ導入チェックリスト

目的

  • 改善するEC体験を一つ決めた
  • 回答によって何を変えるか決めた
  • 既存データでは分からない情報だけ選んだ

質問

  • 不要な質問を削除した
  • 答えやすい選択肢になっている
  • 自由記述が本当に必要か確認した
  • 健康情報など不要なセンシティブ情報を求めていない

説明・プライバシー

  • 利用目的を回答前に確認できる
  • 回答によるメリットが分かる
  • プライバシーポリシーと整合している
  • 外部ツールへの送信内容を確認した
  • 第三者提供の有無を確認した

活用

  • 回答別の商品提案を用意した
  • メールへの利用方法を決めた
  • FAQ・商品ページへの反映方法を決めた
  • 回答を更新できる方法を検討した

計測

  • 回答開始を確認できる
  • 回答完了を確認できる
  • 回答後の商品クリックを確認できる
  • 取得項目の活用状況を確認できる
  • 使わない項目を削除する基準がある

ゼロパーティデータに関するFAQ

ゼロパーティデータとは何ですか?

顧客が自分の意思で企業へ直接共有する、好み、購入目的、希望、予算などの情報を指すマーケティング上の概念です。

ゼロパデータとゼロパーティデータは違いますか?

この記事では同じ意味として扱います。英語表記はZero-Party Dataのため、記事や設定では「ゼロパーティデータ」を基本表記とします。

ファーストパーティデータとの違いは何ですか?

ファーストパーティデータには購入履歴や閲覧履歴など自社接点から得た行動データが含まれます。ゼロパーティデータは、本人が意図的に希望や目的を回答する点に重点があります。

質問は何問にすべきですか?

固定の正解はありません。回答によって実際に接客を変えられる質問だけ残し、回答途中の離脱を確認しながら調整します。

ゼロパーティデータは個人情報ではありませんか?

ゼロパーティデータという名称だけでは判断できません。氏名や会員IDなどと結び付いて個人を識別できる場合などは、個人情報として適切な取扱いが必要です。

本人が入力した情報なら自由にメール配信へ使えますか?

本人が入力したことだけで自由に利用できるとは限りません。取得時に示した利用目的やメール配信に関する同意・法令・サービス規約などを確認してください。

ゼロパーティデータの成果は何で測りますか?

回答完了率だけでなく、データ活用率、回答後の商品クリック、商品ページ到達、購入、メール解除などを確認します。

まとめ

ゼロパーティデータを活用する順序
  1. 改善したいEC体験を一つ決める
  2. 既存データでは分からない情報を特定する
  3. 回答によって何を変えるか決める
  4. 必要な質問だけを作る
  5. 利用目的と回答メリットを明示する
  6. 一つの導線から取得する
  7. 商品提案やメールへ実際に反映する
  8. 回答後の行動を確認する
  9. 使わない項目を削除・見直しする

ゼロパーティデータ活用の目的は、顧客情報を大量に蓄積することではありません。

購入履歴や閲覧履歴だけでは分からない目的や希望を本人へ確認し、商品を選びやすくするために利用することが目的です。

質問数に共通の正解はありません。回答によって実際に商品、表示、メールなどを変えられる情報だけを取得してください。

また、ゼロパーティデータは法律上の特別な免除区分ではありません。

個人情報として扱う必要がある場合は、利用目的、保存、アクセス権、第三者提供などを適切に確認します。

取得後は回答率だけではなく、その情報が実際に使われているか、商品発見や購入体験が改善したかまで測定することが重要です。

まず1つの質問から設計する

「この回答が分かれば商品提案を変えられる」という情報を1つ選び、回答後に何を変えるかまでセットで決めましょう。

商品診断の質問設計を確認する

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